代表挨拶

領域代表・計画研究班代表ご挨拶
(2023年3月)

今はまだ想像もできない「組合せ遷移」の世界を目指して今はまだ想像もできない「組合せ遷移」の世界を目指して

3年前,私たちは学術変革領域研究(B)「組合せ遷移」の誕生に向けて,熱く議論を繰り返していました.野心たっぷりに「これもやりたい」「そのためには,この人に仲間になってもらえないだろうか?」と.あの当時,私たちが考え得る「最強の組合せ遷移」を思う存分,申請書に盛り込みました.有難くも採択された後,あっという間に2.5年が経ち,私たちの前には今,あのときの想像を遥かに超える「組合せ遷移」の世界が広がっています.

私たちが何よりも心掛けたことは,「人と人を繋ぐ」こと,そして「未来への種蒔き」をすることです.3年前はまだお互い名前も知らなかった方も交えて,「組合せ遷移」というキーワードを頼りにガチンコで研究に取り組みました.その結果,著名な国際会議や学術雑誌への論文採択,特許出願やプレスリリース発行等,胸を張れる研究業績が並んでいます.それでも,私たちが最も自慢したいのは,今はまだ業績とは呼べない「目に見えない」成果です.国際ワークショップ,国際プログラミング競技会,学生シンポジウム等の開催を通して,国内外の研究者・学生の方々に「組合せ遷移」という新たな研究視点を届けることができました.これによって「組合せ遷移」の研究が深化できただけでなく,新たな融合研究がそこかしこに芽吹き始めています.きっとそれは,たとえ10年の時間をかけても潤沢な予算をかけても,個人研究では得難い「芽」です.

私たちの学変(B)「組合せ遷移」は,ここで一区切りを迎えます.それでも私たちは,この領域研究でなければ得られなかった「芽」を,これからも大切に育て上げていきます.10年20年先に,やはり今はまだ想像もできない「組合せ遷移」の世界へと広げられることを目指して.

2023年3月
伊藤 健洋,川原 純,岡本 吉央

Profile

伊藤 健洋

伊藤 健洋 領域代表 兼 計画研究A01班代表,
東北大学 教授

2006年東北大学にて博士 (情報科学) を取得.グラフアルゴリズムの手法を主として,組合せ遷移の研究に従事.

川原 純

川原 純 計画研究B01班代表,
京都大学 准教授

2009年京都大学にて博士 (情報学) を取得.アルゴリズムやデータ構造の研究,特にゼロサプレス型二分決定グラフを用いた最適化問題の研究に従事.

岡本 吉央

岡本 吉央 計画研究C01班代表,
電気通信大学 教授

2005年スイス連邦工科大学チューリヒ校にてPh.D.を取得.離散数学,離散アルゴリズム,離散最適化の研究に従事.

科学研究費助成事業-科研費-
「学術変革領域研究(B)」について

「学術変革領域研究(B)」は,次代の学術の担い手となる研究者による少数・小規模の研究グループ (3~4グループ程度)が提案する研究領域において,より挑戦的かつ萌芽的な研究に取り組むことで,これまでの学術の体系や方向を大きく変革・転換させることを先導するとともに,我が国の学術水準の向上・強化につながる研究領域の創成を目指し,将来の学術変革領域研究(A)への展開などが期待される研究です.